お正月明けは「脾(ひ)」を労りましょう|食べすぎ・飲みすぎで疲れた胃腸の整え方

お正月明けに「なんとなく胃が重い」「疲れが抜けない」「食欲がわかない」と感じていませんか。
年末年始は、ごちそうやお酒、夜更かしなどで生活リズムが乱れやすく、知らず知らずのうちに胃腸へ負担がかかっています。その結果、漢方でいうところの「脾(ひ)」=消化吸収の要となる胃腸の働きが弱まりやすい時期です。

漢方では、この時期に特にいたわりたい臓腑として「脾(ひ)」が重要とされています。
新しい一年を健やかにスタートさせるために、お正月明けの体調不良と「脾」の関係、そして整え方についてご紹介します。

お正月明けは、以下のような要因が重なりやすい時期です。

⚫︎食べすぎ・飲みすぎ
⚫︎夜更かしによる睡眠不足
⚫︎運動量の低下
⚫︎冷たい飲み物や甘いものの摂りすぎ

これらはすべて、消化吸収を担う胃腸に負担をかけ、体の回復力を低下させる原因になります。

お正月イメージ

漢方でいう「脾」とは?胃腸との深い関係

漢方における「脾」は、西洋医学でいう胃や腸の働きを含む、消化吸収の中心的な役割を担う存在です。

脾の主な働き

⚫︎飲食物を消化・吸収する
⚫︎気(エネルギー)・血(栄養)・水(体液)をつくる
⚫︎それらを全身に巡らせる

漢方では、「脾は運化(うんか)を主る(つかさどる)」と言われ、飲食物を消化・吸収し、そこから「気(エネルギー)」「血(栄養)」「水(体液)」をつくり、全身に巡らせる役割を担っています。また「昇清(しょうせい)を主る」ともされ、作られたエネルギーを体の上に持ち上げることで、内臓を正常な位置に保ったり、全身の活動を支えたりします。

脾が弱ると起こりやすい症状

しかし、食べ過ぎ・飲み過ぎや冷たいもの、甘いものの摂りすぎ、睡眠不足などが続くと、脾が弱ってしまいます。脾が弱ると、次のような不調が現れやすくなります。

⚫︎食欲不振
⚫︎倦怠感
⚫︎下痢や軟便
⚫︎むくみ
⚫︎めまい

さらに進むと、尿漏れや胃下垂などにつながることもあります。

お正月明けにおすすめの食養生と食材

こうした症状を防ぐためには、「脾」をいたわる食事が大切です。おすすめの食材としては、もち米、山芋、かぼちゃ、大豆製品などがあります。これらは脾の働きを補ってくれる食材とされ、年末年始の疲れた胃腸にぴったりです。

脾を補うとされる食材

脾の働きが低下すると、次のような不調が現れやすくなります。

⚫︎もち米
⚫︎山芋
⚫︎かぼちゃ
⚫︎大豆製品(豆腐・納豆など)
ただし、もち米は体を温めすぎるので、特に炎症を起こしている部位がある方は、食べ過ぎには注意です。

脾を補う漢方薬という選択肢

食養生に加えて、漢方薬の力を借りるのも一つの方法です。

胃腸虚弱に用いられる代表的な漢方

⚫︎六君子湯(りっくんしとう)
 食欲不振、胃もたれ、疲れやすい方に
⚫︎補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
 体力低下、だるさ、風邪をひきやすい方に

脾の働きを高め、胃腸虚弱や体力低下の改善に用いられます。食欲がない、疲れやすい、体が重だるいといった方におすすめです。

漢方は体質に合わせて選ぶことが大切

漢方薬は「同じ症状=同じ薬」ではありません。
年齢、体力、冷えやすさ、生活習慣などを総合的に見て選ぶことで、より効果的なケアにつながります。

自己判断で続けるよりも、専門家に相談することをおすすめします。

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